blog 「友達のまま」(7) Story Box
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「友達のまま」(7) 友達のまま 2005年09月08日[18:03]
 「祭りの仕切り・・・ですか?」
 夏休みもあけた9月のとある土曜日。
 いつものように放送のミーティングをしていたあたしたちに森川Dが持ちかけたのは、
地元の秋祭りの前夜祭の仕切りを『B・E』メンバーにお願いできないかと言う実行委員会からの提案だった。
 
 「とりあえず基本的な進行は向こうが決めるから、あとは俺らの好きにしていいとさ。やるか?おまえら」
 「やるっ!」
 こういうお祭り騒ぎが大好きなあたしたちが乗らないはずがなく、全員一致の賛成で参加決定。
9月の第3土曜日、夕方5時半から8時半までのイベントの後、局に戻っていつものように9時から11時までの放送をすることになった。
…仕切りといっても、実際に表舞台に立つのはちひろと凌さんで、あたしたちはBGMの選曲とかの仕事だから、
放送でやってる「裏方」の作業とそんなに変わらないのだけど。

 あれから「K?NA(ケイナ)」からの投稿はなく、かといって夏菜に聞くわけにも行かず、
なんだかすっきりしない気持ちのまま季節は夏から秋へ。
 知りたい気持ちと、でも本当にあれが夏菜の仕業で、しかもその相手が拓巳だと知るのもなんだか恐い。
そんな正反対の気持ちであたしは揺れていた。

 「オータムフェスティバル・イン2004?!!
いよいよ今年の秋祭りもこの前夜祭からスタートでーす!!
今年は、我々『B・E』がのっとらせていただきます!!
お相手は『生まれも育ちも地元っ子・パワフルDJ』宮本ちひろ!」


「さっきから食い物の屋台に目移りしまくりの相方を
コントロールしつつ、みんなと一緒に3時間盛り上がっていきまっしょい!
同じく『生まれも育ちも地元っ子・ファンキーDJ』水瀬凌です!!」



 ラジオで告知したからリスナーも来てる、と言うのもあるだろうが、場内は大盛り上がり。
…この人たち(ちひろ・凌さん)の辞書に「緊張」とか「あがる」という文字ってないんだろうなあ…などと妙な感心をしながら、
仕切って仕切って仕切りまくる2人を見ていた。
 
 いろいろなゲームや、地元バンドの演奏など次々とプログラムは進行し、大盛り上がりのまま祭りは終盤へ。
 あたしたち裏方チームは、祭終了後局に移動する為に、撤収準備をひそかに進めていた。
「…悪いけど森里、笠原、食いモン調達してきてくれないか?
ちひろと凌は移動しながら飯食わすことになるかもしれないからさ。
…そうだな、ホットドッグとか、焼きそばとか、買ってきてくれないか?」
 森川Dにお使いを言いつけられたあたしと玲奈は急いで屋台のほうへ走る。
お目当ての屋台は別々の方向にあったので途中で二手に別れ、無事人数分の焼きそばを調達して、スタッフテントのほうへ戻る。
…とそのとき、目の前に見慣れた顔が。

 「たくみー…」と、声をかけようとしたあたしは思わず固まった。あたしとは別の方向からなにやら持った夏菜が拓巳に駆け寄ってくる。
 2人が何を話しているのかは聞こえないが、夏菜が屋台で買ってきたものを見せているのだろう、袋の中を覗き込んでにこにこする拓巳。
やがて、腕を組んで歩いていく2人。

 …やっぱり、そうなの…?
 あたしは呆然と二人の後姿を見送る。
 夏菜は拓巳が好きで…2人は付き合ってるの?

 「みちる?どしたの?」
 いつのまにか玲奈も買い物を済ませて戻ってきていた。
「なんでもないよ、ちょっと知り合い見かけたからさ」必死でごまかすあたし。
「そっか。早くしないとまた森川Dに怒られるよ」
あたしの様子を何も疑う風もない玲奈に感謝しつつ、あたしたちはまたスタッフテントのほうへ走り出した。
 途中二人が歩いていった方へ振り返ってみたが、もうそこには2人の姿はなかった。

 「Beat Express・9月3週目の土曜日がやってきましたー!」
 …祭りが終わったばかりなのに、このハイテンションはすごいわ…と再びちひろのパワフルさに感心しながら、
あたしは自分のコーナー用のコメントやFAXを読み返していた。

「それでは、今週最初のFAXは、ラジオネーム『K?NA』さんから!おっ、『K?NA』さんも祭りに参加してくださったんですねえ…」  

 それまですっかり自分の作業に没頭していたあたしは、ちひろが読み上げた「K?NA」の言葉に、思わず手が止まってしまった。

 「『ちーちゃん、凌さん、秋祭りお疲れ様でした!
2人やスタッフのみんなのおかげで今年の祭りはすごく楽しかったです。
それに、今日は好きな人との初デートの日だったので、今日のことは一生忘れないと思います!!』かあ…よかったですねえK?NAさん!
あたしたちが働いてる中で初デートですか。うらやましいようなにくったらしいような…(笑)でもおめでとう!!」

 
 ちひろはあたしが拓巳を好きなことは知らない。
 だから、リスナーからの喜びの報告であったこのFAXも番組で取り上げて当然だ。でも、思わずそのFAXを採用したちひろを逆恨みしたくなった。

 …間違いない、「K?NA」は夏菜だ。
 あたしの様子に気づいた沙也が「大丈夫?」と声をかけてきたみたいだが、あたしの耳にはもう、それすらもまともに入ってこなかった。 
                      
                  (「友達のまま」8に続く)
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