blog 「友達のまま」(6) Story Box
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「友達のまま」(6) 友達のまま 2005年08月05日[16:51]
「じゃあ、また土曜日にね!」
 4人ともそれぞれ帰る方向が違うので、ティー・ハウスで解散することになった。
 だけど、あたしと沙也は二人を見送ったあと、再び店の中へ。
 ふたりの前に暖かい紅茶が運ばれてきて、それをきっかけにあたしは口を開いた。

「あたし、なんだか最近嫌な奴になってきてるような気がするの。
好きな人がいるんだけど、それに気づくまでは何ともなかったのに、
彼と一緒の時間を過ごしてる桐葉の同級生とか見ると、ただの友達かも知れないのにすごく焼きもちやいたりして、今日だって・・・あのざまよ。みっともないったらないよね。本当に」
 
 さっきまで笑顔をキープしようとして、必死に張りつめていた気持ちが少しずつ緩んできて、また泣きそうになる。
「それだけ、みちるが相手のことを好きっていう気持ちが大きいからじゃないかな。・・・うまく言えないんだけどさ、人を好きになるのってきれいごとだけじゃすまされない気がする。
・・・あたしは大地が好きで、幸運にも両想いになれたけど、いまだに不安なときもあるし・やきもちなんてしょっちゅうだよ。
あたしは局にいる大地とプライベートの大地は知ってるけど、学校にいるときの彼も知りたいって思う。
何でがんばって桐葉に行かなかったんだ、って後悔することなんてしょっちゅうだし、今日みたいに女の子と一緒にいるのみると、ちくしょうって思うんだ。」
 
あたしは意外な気持ちで沙也を見ていた。まさか沙也の口からそんなせりふが出てくるなんて思いもしなかったから。
「沙也がそんなふうに思ってるなんて考えもしなかった。何か沙也ってさ、おちついてて大人っぽいじゃない。だからさ・・・」あたしがいうと、沙也は肩をすくめて苦笑いした。
 「何かあたしのこと、買いかぶってない?あたしほど、独占欲強くって焼きもちをばりばりやく奴なんていないよ?・・・よく大地に愛想つかされないな、って思うくらい」
 でもそんな沙也はすごくかわいく思える。大地くんに愛されていることが、沙也を綺麗にしている気がする。
 
 「あのさ、みちる。あたし思うんだけどさ、やっぱり気持ちは伝えたほうがいいと思うのよ。まだ何も言ってないんでしょ?だったら一人で悶々としてるよりは気持ちを正直に言ったほうがいいと思う。
言わないで後悔するのが一番みじめだよ。それで気まずくなるかもしれないけど、後悔するよりはずっとましよ。…それに、それぐらいで友達やめる人じゃないと思うよ、有川くんは」
「気づいてたの?知ってるの?拓巳のこと」まだ友達の誰にも話していないのに、突然沙也の口から拓巳の名前が出てきたので驚いた。

「『T校バスケ部の10番』でしょ?あたしはみちるの好きな人じゃないかと思ったんだけどなぁ。みちるがあんなにあの詩に執着するんだから。まぁ、『10番』が有川くんのことじゃないかって先に気づいたのは大地だけどね。」

 沙也のおかげで少し元気を取り戻して、あたしが家に帰りつくと、あたし宛に暑中見舞いのはがきが届いていた。
 『祝・藤女&桐葉地方大会出場!』なんて書かれたそのはがきは、夏菜からのもので、それをじーっと眺めながらどこかで見た字だな・と思った。次の瞬間、あることを思いついたあたしは、引き出しにしまった例の詩のコピーを取り出した。

 似てる。字の癖が似てる。そう思いたくなくてもそう認めざるをえないほど、二つの文章の文字は似ていた。
 それに、このペンネーム。玲奈が『ケイナ』と読んだときには何とも思わなかったけど、ペンネームのところに『K?NA』とアルファベットで書いてあって、ご丁寧に『ケイナ』と読んでくれと添えてある。

 『夏菜』をアルファベットに直すと『KANA』になる。やっぱりこの詩を書いたのは夏菜なんだろうか。
 夏菜の好きな人も、拓巳なのだろうか。
 
 また胸の中がざわざわ騒ぎ出して、心の中に暗雲がたち込めてくるような・そんな気分になってしまって、その夜はなかなか眠れなかった。
                
                      (7に続く)
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