blog 「友達のまま」(3) Story Box
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「友達のまま」(3) 友達のまま 2005年05月02日[19:31]
 「…さーて、今夜はこれでおしまいっ!夏休み一発目の『B・E』いかがでしたか?休みだからってあんまり遊びほーけたり、夜遊び・夜更かしばっかしてると、後が恐いよ?。でも『B・E』はちゃんと聴くよーに!
番組ではいつものよーに各コーナーへのお便り、リクエストお待ちしてます!
…それでは今夜のお相手は宮本ちひろと水瀬凌でお送りしました!また来週!」
 

 あたしたちは高2になり、放送にもすっかり慣れてきて、放送終了後の反省会でも森川ディレクターに怒られることも少なくなってきた。

 夏休みに入って最初の土曜日、あたしは森川Dの前に立った。
「何?来週欠席だと?」反省会が終わってみんなが帰り支度を始め、あたしは森川Dに欠席の事情を話す。 
「…ええ、県予選大会が来週の日曜日で、前日の土曜は学校に合宿して練習するって毎年決まってるんで」 
「そーいや、おまえブラ・バン(=吹奏楽部)だっけな。いいよ、大会ならしょうがない。おまえのコーナーは凌かちひろに頼めばいいさ。そのかわり、木曜か金曜までにちひろに曲のリストを準備して渡しててくれ。
どうもおまえのコーナーに来るリクエストはマニアックなものが多くていかんぜ」
 
 一回目で「どんなマニアックな曲でも探してかける」と宣言したせいか、リスナーから「この曲がわかるならかけてみろ」とばかりに挑戦状的なはがきが来るようになって、ついにそれ専用のコーナーができてしまったのだ。
 いつもはちひろと凌さんの二人でやってるけど、このコーナーだけはあたしが入ってDJさせてもらえるのだ。 

 その他にも相談や自分の身の回りに起こったことを送ってきて、これにぴったりの音楽をかけてくれというリクエストも扱うようになってからはさらにその数が増えてきて、あたしたちはうれしい悲鳴を上げていた。
 友達からマニアと呼ばれるあたしでもさすがにわからない曲があって、その時は拓巳のお兄さんの耕史さんや、耕史さんのバイト先のレンタル屋の店長に助けてもらっている。
 
 「ちひろ、ごめんね。これ頼むわ」
 木曜の夕方、あたしは学校の帰りにちひろの家に寄って、曲のリストと局に置いてなかったCDを渡す。
「ん、わかった。合宿と大会がんばってねー。」

 土曜日。
 「よーし、今日の練習はここまで!明日は6時起きだから早く寝ろよ!」

 いよいよ県大会前日。うちの学校の合宿所を貸し切りにして、朝10時から練習・練習・また練習であたしたちはぐったりしながらそれぞれの部屋に向かう。
 合宿所には、管理人さんと食堂のおばちゃんがいるので食事の準備をする必要がないのはいいけど、その分練習時間が増えるのでしごきにしごかれ最後のつめをすると言うわけ。

 速攻でお風呂に入って部屋に戻り、用意してきたポケットラジオのスイッチを入れる。流れてくるのはちひろと凌さんのしゃべり。都合で欠席とは言え、やっぱり気になるのだ。

「それではっ、次のコーナー。『森里の文句があるなら来なさい!』…なんですが、このコーナーの主、森里女王様(笑)は今日は欠席でーす。おーいみちる聞いてるかー。大会がんばれよー。」
「ハイハイ、人様のコーナーを私物化しない!個人的な伝言は直接本人に言ってくださいねー、宮本さん(笑)
そういえば森里の本業はブラスバンドのサックス吹きだったよな?」
「そうそう。これがまたかっこいーんだわ。『きゃあーみちるおねーさますてきー』なーんて。なんせうちの学校は女子高ですからねー。
…おっと話がそれましたね。森里は部の合宿中なんで今回のみ欠席。来週は出てくるから、いつも以上に強力な、森里をぎゃふんと言わすよーなリクエストを送ってねー」


 何ゆーとんじゃちひろの奴…苦笑いしつつも、番組の中で話題にしてくれたちひろと凌さんにひそかに感謝したあたしだった。

 いつも通りに番組が進行していって、玲奈のポエムのコーナーになった。
 何気なく聞いてたあたしだったけど、あるポエムを聞いた瞬間、思わずそれに釘付けになってしまった。
 ポエムは好きな男の子に対する詩だったんだけど、最後のメッセージが、なぜか拓巳にあてたものじゃないかと思えてきたのだ。
 
『この詩は、私の好きな人のことを書きました。T高校のバスケ部10番の彼は、誰にでも人気があって、バスケがめちゃめちゃうまいんです。ものすごくかっこいいんです』

 それを聞いたあたしは、拓巳が新チームで確か10番をもらえたとか何とか言ってたのをなぜか思い出して。
 この辺でT高といえば桐葉と津田山の二校あるけど、考えれば考えるほど、どうしても『T高校バスケ部の10番=桐葉高校バスケ部10番=有川拓巳』としか思えなくなってしまったのだ。

 放送が終わるのを待って、あたしはすぐ局に電話した。
「あれ、みちるちゃん?どうしたの?」電話に出たスタッフのおねーさんに
「玲奈はまだいますか?もしいたら代わってもらえますか」
あたしの声にただならぬ雰囲気を感じたのだろう、玲奈はすぐに電話に出た。
「どうしたのみちる?おねーさんがびっくりしてたよ」
「詳しいことは会ったときに話すからさ。…今日玲奈のコーナーで読んだはがきあったでしょ?ラジオネームが『ケイナ』とかいうやつよ」
「ああ、バスケ部の彼に恋してる、ってやつね。」
「そう、それ。あたし気になってさ。そのはがきをとっておくことってできる?」
「できるよ。実はあれ、本名も住所も書いてなくってさ、グッズを送りたくても送れないから森川Dが次が来るまで保管しておけっていったの。だから内緒でコピーとっとくね」・・・と玲奈が言ったその時!

「いつまでしゃべってるんだ笠原!反省会が始められないじゃねーか!森里!おまえも明日大会ならとっとと寝ろ!」森川Dの声が遠くから聞こえてきて、あたしはあわてて電話を切った。
             
                   (第4話に続く)
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